気象予報士は命を預かる職業として「天気オタク」になるくらいがちょうどいい


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岡田 沙也加(おかだ さやか)さん 気象予報士

大学受験後から興味を持って勉強していた気象予報士の資格。岡田さんが本腰を入れたのは、伊豆大島や広島などの度重なる自然災害がきっかけでした。「自分は何ができるのか?」という目線を持ってから気象の仕事を始めるまでの経緯を伺いました。


度重なる自然災害に「自分がどうにかしなければ」という使命感が生まれた

――いつからどんなきっかけで気象予報士の勉強をしようと思ったのですか?

大学受験を終えてすぐ、次は何を勉強しようかなと本屋さんで手に取ったのが「気象予報士」のテキストでした。海と山に囲まれて育ったので、身近なテーマだったんだと思います。勉強をしてみるとまだ解明されていないことも多い分野で、一生勉強を続けられると同時に、自分が何かを発見できるかもしれないということにも魅力を感じるようになりました。

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――実際に資格を取ったのは一般企業にお勤めのときですよね?

学生時代は「自然が好き」という理由だけで、実は勉強が捗りませんでした(笑)。でも社会人になってから伊豆大島、広島の豪雨災害など、度重なる大きな自然災害があり、「自分は何ができるんだろう?」という目線で考えるように。「自分がどうにかしなければならない」という使命感が生まれ、合格につながったんだと思います。

――勉強のコツがあれば教えてください。

例えば「広大な海洋から水分がさーっと蒸発して雲が作られ、日本に流れ込み雨となって落ちてくる……」そういう現象を自然番組を見ているかのように具体的にイメージしながら、わくわくした気持ちでやるようにしていました。通っていたクリアの先生もそういう方だったので、講義を聞いていてとても楽しかったです。

キャスターの仕事は突然に!「私では無理だと思います」と弱音を吐いた過去も

――企業にお勤めから気象予報士へ。勇気がいったのでは?

前はコンサルティング会社に勤めていたのですが、その仕事もすごく好きだったので、辞めるのは心残りだと思って上司に相談したんです。すると定期的に単発の仕事として発注をいただけることに。そうやって自分の人生の選択肢を狭めずに、好きなことをできる環境が整ったというのが、気象予報士としてのチャレンジの後押しになったんだと思います。前の職場にも本当に感謝しています。

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――実際に気象の仕事に就くまでの道のりはどうでしたか?

資格取得後はまず、どのような会社や仕事があるのかなど、気象業界の全体像を把握することに務めました。全く知らない業界で、公開されている情報も少なかったので、信頼するクリアの先生にざっくばらんにお話を聞けたのは大きかったです。そして、はじめの一歩だと勇気を出して、ウェザーマップの面接を受け、所属できることとなりました。

――ウェザーマップに所属後、気象キャスターの仕事はどんなタイミングで?

私の場合はキャスターの仕事も突然、森田さんのサポートの仕事も突然でした。どれも第一声「私では無理だと思います」と弱音を吐いた記憶があります……(苦笑)。何も分からない中で「現場で学ぶ」という言葉がぴったり。現場の先輩方が本当に優しく、さまざまなことを教えてくださったおかげで、何とかあの時期を乗り越えられたと思っています。

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<ウェザーマップの仲間達と>

――ウェザーマップはどんな会社ですか?

裏表なく人懐こい、森田さんの人柄がそのまま表れたような会社だなぁと思います。今は普段、名古屋にいますが、赤坂のオフィスへ行けばいつでも家に帰ったかのようにみなさん優しく出迎えてくださり、人数が集まればお帰り会というか、ただの飲み会を開いてくださり(笑)、昨日も一緒に働いていたかのような雰囲気で距離を全く感じません。

気象キャスターには「人が何を考えているのか」「どんな状況にあるのか」を想像できる共感力の高さが必要

――気象予報士、気象キャスターとして普段努力されていることはありますか?

気象台の予報官や先輩キャスター、大学の先生、気象予報士仲間、河川の担当者、地域の人々……、さまざまな方にお話を聞かせていただいています。自分が気づいていなかったことにハッとさせられることが多く、それをきっかけに「もっと」解析をていねいにやろう、伝え方を工夫しようと思えます。

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――気象予報士にはどんな能力が必要だと思いますか?

気象予報士としては「天気オタク」。ある種、命を預かる職業として、天気や自然へのあくなき探究心、危険を察知するための解析力を向上させる努力は欠かせないと思います。オタクになるくらいでちょうどいいかと。気象キャスターとしては「人間オタク」。どんなに天気に詳しくても伝わらなければキャスターとしての役割を果たせません。人が何を考えているのか、どんな状況にあるのかを想像して、自然な言葉で伝えられる、共感力の高い人が理想的なのではないでしょうか。それでこそ、人の頭にスッと入る気象情報になるんじゃないかなと思っています。

(2017年9月掲載)


okadasayaka33岡田 沙也加(おかだ さやか)さん

神奈川県出身。大学を卒業後、一般企業に就職。小さい頃から海と空が好きで、自然の声に耳を傾けられる、気象の仕事に興味を持ち、2014年に気象予報士資格を取得。2015年からウェザーマップに所属。2016年からはNHK名古屋放送局で気象情報を担当。

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