地元に密着して、いざというときには命を守る手助けができる「天気の町医者」 的存在でありたい


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片平敦さん(気象予報士)

気象予報士として19歳から活躍されている片平さん。
防災士の資格も活かし、“命を守るための情報”を発信し続けるその活動を語ってもらいました。


“気象予報士=気象キャスター”だけじゃない。気象予報士は裾野の広い仕事です

―現在のお仕事について教えてください。

 関西テレビ放送にて、平日夕方の番組「みんなのニュース ワンダー」に出演して気象解説を担当しています。前所属会社の人事異動でたまたまやってきた大阪ですが、僕の肌に合っていて、かれこれ10年以上になりました。

 平日は毎日、精一杯全力投球して予報・解説するので、毎日へろへろ(笑)。そして、毎日前日の天気の答え合わせをすることになるわけで、それが楽しくもあり難しくもあり……(笑)。

―ずっと気象キャスターのお仕事をされてきたのですか?

 いえ、解説業務から離れていた時期もありましたよ。大学生時代にウェザーマップでキャスターとしての土台部分を教えてもらい、その後に所属した気象協会では、しばらくの間、解説業務から離れて気象業務の全体像を学びました。新人として、観測の手伝いでラジオゾンデを飛揚させたり、調査・海洋系のシミュレーションの営業担当をしたり……。天気予報の仕事というと、テレビに出て解説をする姿ばかりイメージされがちですが、本当に裾野が広いんです。そのさまざまな業務を経験させてもらったことが、今、気象解説をする上で役立っていることが多いと思います。

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―ウェザーマップ社はどんな会社ですか?

 アットホームな雰囲気の会社ですよ。社内の勉強会が定期的に開かれていますし、経験豊富な先輩が大勢いますから、自分からガンガンいったら、目一杯指導してもらえると思います。実際、僕も学生予報士時代は、シフト勤務ではない日まで職場に押しかけて、毎日毎日先輩の横で天気図書きに明け暮れました。それがあって、今の僕があります。


全国の天気予報とローカルな天気予報では役割が違い、解説の仕方も違う

―地方局での仕事のおもしろさ、やりがいとは?

 テレビで天気予報を見てくださる方々にとって知りたいことは、究極的には「自分の頭の上の天気が一体どうなるのか?」ということ。東京からの全国の天気予報が“概況”的であるとするならば、地方局でのローカルの天気予報は“かゆいところに手が届く”、“あなたのための天気予報”というところでしょう。そのふたつに上下はありませんし、役割が違い、解説の仕方も異なるんです。だからこそ、自分の守備範囲の人のために、命を守る気象情報を提供するという非常に大きなやりがいを感じています。
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―片平さんは「天気の町医者を目指す」とお話しされていますが。

 はい。僕は地元に密着して、本当の意味で日々の生活に役立ててもらい、いざというときは命を守る手助けができる“天気の町医者”的な存在でありたい、と思っているんです。地域によって天気のクセがあり、気象予報士試験では出題されないような難しい事象も少なくありません。そうした現象を学ぶことがローカルの天気予報をする際に非常に大事で、難しくもあり楽しい部分でもあり……。町医者になるため、日々勉強です。


ひとりでも多くの方の命を守ることのできる解説を続けていきたい

―今後のやりたいことや、学んでいきたいことはありますか?

 関西のみなさんのために役立つような気象解説を、これからも続けていきたいと思います。いつまでも、ひとりでも多くの方の「命を守る」ことのできる解説を続けていきたいと、心から思います。また、ただ単に気象解説を伝えるだけではなくて、講演会やコンサル業務など、「防災・減災」をキーワードに、より専門的な業務にも従事したいです。お天気キャスターとしての仕事を中心の軸に据えて、より幅広い場面で「命を救う」お手伝いをしていけたらなぁとも思っています。

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 防災の観点からは、最終的には学校や地域での「防災教育」がとても大事だと思っています。これは地味で時間のかかることですが、しっかりと、防災が当たり前のこととして育った子どもたちは、将来成長して親になった時に、またその子どもたちに自発的に教えていけると思うんです。30年、40年先の防災のために、自分の立場でできることを考えて取り組みたいと思っています。


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片平敦さん(かたひら あつし)さん

1981年埼玉県生まれ。幼少の頃から将来の夢は「天気予報のおじさん」。19歳で気象予報士の資格を取得し、大学生お天気キャスターとしてデビュー。卒業後は日本気象協会に入社し営業・予報・解説など幅広く従事した後、2008年にウェザーマップに移籍。関西を拠点に出演解説のほか講演・ウェブ記事執筆など活動中。平時は楽しく分かりやすく、災害時には命を守る解説を。関西の皆さんに愛され頼られる、天気の「町医者」でありたい。

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