私のお天気教室が、子どもたちの夢をつなぐきっかけになればいいな


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國本 未華(くにもと みか)さん 気象予報士
キー局での気象キャスターとして、子ども向けの天気教室の講師として。多岐にわたる気象予報士の仕事を楽しみながら取り組んでいる國本さん。今後目指しているキャスター像や極めたい分野についても伺いました。


日本全国で起こるそれぞれの現象には繋がりがある、それが伝わるように意識して

――テレビ東京、TBS、日本テレビなどキー局での気象キャスターとしても活躍されています。キー局でのやりがいはどんなところですか?
やりがいというか、楽しいのは「全国」の天気をどのように見せるかを考えることです。日本列島上の空気は切れ目がないので全部つながっていますよね。場所によって全然違う現象が起きていたとしても、それぞれの現象には絶対どこかに繋がりがあるのです。その繋がりが伝わるよう意識して、天気予報の画面を作っています。自分の場所と、遠くの場所がつながったような感覚になって欲しいなぁと思いながら……。

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――オンエアで肝に銘じていることなどあれば教えてください。
昔、雪まじりの雨の天候の中、初めての中継の仕事で準備もバタつき、本番で予期せぬトラブルが起きたことがありました。この苦い経験は「スタッフの皆さんとたくさん時間をかけて事前に準備したものや打ち合わせたことを、生かすも殺すもテレビで話す私次第なんだ」とキャスターとしての意識が変わるきっかけとなりました。今もこの学びを思い出し、特に緊張している時は自分に言い聞かせます。「伝えたいことを『私が』『自分の言葉で』しっかり伝えよう」と。そうすると、不思議と冷静になれて落ち着くんです。

講演会の仕事は思いがけない視点から質問や感想を聞ける貴重な場

――キャスター業以外にもいろいろなお仕事をされていますね。
地方局の天気予報原稿を書く仕事、講演会、雑誌の取材、天気に関するドラマの監修、頭痛薬のウェブCM、エッセイ連載、子ども向けのお天気教室などやらせていただきました。中でも特に講演会は、テレビの天気予報とは違ったやりがいを感じます。思いがけない視点からの質問や感想をお客さまから聞くことができる、とても貴重な場なんです。それにお客さまからいただく声は、テレビで伝える天気予報のヒントにもなるんです。

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――どんなことがヒントになったのですか?
例えば、地球温暖化の話や異常気象の話をした時に「エルニーニョ現象とラニーニャ現象は、日本にとって結局どっちが良いの?」と質問を頂きました。私はメカニズムから説明していましたが、聴講者の方は結論がまず知りたかったようで……。複雑な話ほど、結論を先、解説は次、という方が伝わりやすいことに気づかされました。プレゼン力が鍛えられている気がしますね。ちなみにこの質問には「どっちもどっちです」とお答えすると笑いが起こり、ウケたのが意外でした。

――子ども向けのお天気教室もおもしろそうですね!どんなことをするのですか?
まずは、お天気キャスターの体験です。天気原稿の作成も子どもたちにやってもらい、オリジナルのコメントも考えて発表してもらいます。とてもユニークな視点の発言が多く、私のほうが楽しませてもらっているくらいです。あとはペットボトルで雲を作ったり、竜巻を発生させる実験も行います。子どもたちには天気って身近で楽しいんだよ、ということを一番に伝えたいですね。天気、あるいはお天気キャスターという仕事に、少しでも興味を持ってくれるだけでうれしいです。私自身がそうであったように、小学生ぐらいの時に興味を持ったことや思い描いた夢は、心の中にずっと刻まれている気がするんです。私のお天気教室が、子どもたちの夢をつなぐきっかけになればいいなと思っています。

kunimoto_event「講演会・こども向けイベントの様子」

私の予報・解説だったら聞いてみたいと思ってもらえる存在になりたい

――今後目指している気象キャスター像について教えてください。
お天気キャスターに憧れていた自分の子ども時代があったように、天気に興味がある子どもの心にはしっかりと届く天気予報をしていきたいです。解説に難しい言葉は使いたくないですね。子ども向けのお天気教室も、全国各地で開催できたらいいなと願っています。そして何より、私の予報・解説だったら聞いてみたいと思ってもらえる存在になれるよう、信頼されるキャスターを目指して邁進していきたいです。天気のことなら何を聞かれても答えられるキャスターになりたいです。

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――学んでいきたい分野はありますか?
私は動物が好きなので、地球温暖化と動物の関係については今後深めたい分野です。動物園巡りが趣味で休日はよく行くのですが、動物園は癒やされるだけでなく、環境問題や絶滅危惧種などの解説も充実しているのでとても勉強になるんですよ。例えば地球温暖化で北極に氷が張らなくなると、ホッキョクグマは1週間で10キロくらい痩せるとか……。時代と一緒に、気候も変わっているのは確実です。最新の知見を取り入れながら、日々勉強!天気の勉強は好きだから楽しいです。

(2017年9月掲載)


KW8_1461國本 未華(くにもと みか)さん

北海道室蘭生まれ、東京育ち。早稲田大学在学中、幼い頃からの憧れであったお天気キャスターを目指し勉強を始め、大学三年生で資格取得。同年、健康気象アドバイザーの資格も取得。大学在学中からウェザーマップに所属し活動を始め、卒業後はテレビ東京、TBSテレビ、日本テレビなどにも出演し、主に報道番組を担当。雑誌の取材やコラムの執筆、講演会、子供向けのお天気教室などの仕事も受け持つ。好きな季節は真冬で、趣味は北海道旅行と動物観察。

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