浜崎慎二(はまざき しんじ)さん 気象予報士
当初は自己啓発のために始めた気象予報士の資格勉強。
取得後、気象の仕事に就くため自ら積極的に動いたことなど、気象予報士としてスタートするまでを語ってもらった。
天気を科学的に理解するおもしろさにはまり、1年で資格取得
――浜崎さんが気象予報士の資格を取ろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
一般企業の会社員だったのですが、当時、平日は家と会社の往復で……。何か違うことをはじめたいと思い、資格の勉強をしようと。その際に本屋で偶然目に入ったのが『気象予報士』の本でした。かねてから興味を持っていたこともあり、「これしかない!」と思ってすぐに勉強を始めたんです。
――独学で資格を取ったんですか?
はじめは独学で勉強していたんですが、私は文系だったこともあって独学には限界を感じ、新宿にあったスクールに通うことにしました。当時、神奈川県の平塚市に住んでいたので、土曜日朝9時からの授業のために、相当早起きをして通いましたね。週に一度のスクールでの勉強に加え、平日は会社から帰って毎日2時間勉強をしました。おもしろさにはまり、勉強はまったく苦にならなくて、その結果、5年くらいかけて取ろうと思っていた資格を1年で取ることができました。
――1年で!おもしろさにはまったとは、具体的にどのようなことでしょう。
当たり前に何気なく感じていた天気を科学的に理解することができる、というところがおもしろく感じました。例えば北海道で言えば、出身の室蘭では雪がほとんどない一方、たまに札幌に行くとドカッと積もっているのも、気象の勉強を始めて理由がしっかりとわかりました。
“気象の仕事を探しています”と名刺に書いて配ったことも
――資格を取得されてからはどうされたんですか?
自己啓発で始めた気象予報士の勉強だったんですけど、資格を取得できた段階で「気象の仕事をしてみたい」と思うようになりました。取得後すぐに『気象予報士会』の案内が届いたので申し込み、その『気象予報士会』で開催される集まりに積極的に参加しました。そしてそこで多くの方のお話を聞き、気象の仕事を探していることをアピールしました!
――かなり積極的に活動されたんですね。
はい、名刺に“気象の仕事を探しています”と書いて配ったこともありました。それで何度か集まりに参加しているうちにウェザーマップの先輩・増田雅昭さんにお会いし、ウェザーマップで人員募集があることを知りました。面接を受け、合格!晴れてウェザーマップで気象の仕事を始めることができました。増田さんは面接のときにも顔を出してくださったり、ウェザーマップで働き始めてから大変だった時期も、こまめに声をかけてくださったりとてもお世話になっていて、今仕事を続けられているのも増田さんのおかげだと思っています。
――そんな先輩がいる会社だと心強いですね。
ウェザーマップは、各々がそれぞれの場所でやりたいことができる自由度がある一方で、いざというときには心強いサポートがあります。さらに、全国に散らばった気象予報士からの地域ならではの情報を共有できる結びつきの強さもあります。食べ物でたとえるなら、個は保っているが結びつきが弱い『煮豆』でもなく、結びつきが強すぎて個がなくなってしまっている『豆腐』でもなく、個を保ちつつそれぞれが強く結びついている『納豆』という感じですね。
気象予報士には、探求心と責任感を持っている人が向いている
――気象予報士に向いているのはどんな人だと思いますか?
探究心と責任感を持っている方が向いていると思います。日々予報をしていると当然大きく外れることもあります。特に私が現在担当している北海道では面積が広いので、必ずといっていいほど、どこかの地域で差が出てきます。そうしたときに「なぜ外れたのか?」に興味を持って考え、「次はこうしたら当たるかも」とか、「こんな場合は気をつけよう」ということを考えていく必要があります。
――気象キャスターを目指す方にアドバイスは?
気象キャスターは、私のように地方で一人で働くケースも考えられます。その場合、テレビ局では気象に関する質問はすべて自分に回ってきます。カメラをどこに出すか、緊急体制を組むべきか、時には原稿の表現などもそうです。日々の放送に加え、そうしたことをこなす責任感も大切だと思いますね。
浜崎慎二(はまざき しんじ)さん
1986年北海道室蘭市生まれ。小樽商科大学を卒業後、一般企業に入社。書店でかねてから興味を持っていた気象予報士のテキストと出会い、働きながら資格取得に挑戦。勉強を開始して1年で資格を取得。2011年10月から株式会社ウェザーマップに所属。テレビ番組のサポート業務を経て、2013年度からはNHK札幌で気象キャスターを務める。2015年には室蘭市の『ふるさと大使』に就任。講演会など地元に密着した活動にも力を入れるとともに、地域に根ざした気象情報を目指している。