福岡良子(ふくおか りょうこ)さん 気象予報士
学生時代に気象予報士講座に通い、ウェザーマップの専属気象予報士として活躍している福岡さん。気象予報士の魅力や気象キャスターとして心がけていること、将来のビジョンなどを伺った。
緊張みなぎるNHK「ニュース7」の2分間
——現在の仕事を教えてください。
2016年4月から、NHK総合の午後7時〜7時30分「ニュース7」の天気予報を担当しています。7時28分からの2分間ですが、生放送ですので臨時ニュースや大きなニュースがあったときなどは時間調整のために2分間より短くなることもあれば長くなることも。しかもスタート直前に持ち時間の変更を伝えられるので、話そうと思っていた内容を変更することもよくあります。臨機応変に対応できるよう、秒単位でシミュレーションをしています。
バーチャルリアリティを駆使した、こだわりの演出
——演出や見せ方にこだわった番組ですよね。
モニターではなく最新のバーチャルリアリティを駆使し、立体的な見せ方にこだわっています。大気は立体的なものですので、大気の構造をよりイメージしやすいように見せられるつくりになっています。また、大気の様子だけではなく、花火の打ち上げや星空の様子を表現したことも。このバーチャルリアリティをうまく活用して、天気をよりわかりやすく伝えられるように日々模索しています。
災害報道のチカラになれるやりがい
——気象キャスターのやりがいは何ですか?
災害報道のチカラになれることです。その最前線であるNHKで伝えているということを重く受けとめています。私の一言で尊い命が守れたり、被害を少なくくい止めることができるかもしれない、その思いで責任感をもってやっています。ただ災害時ゆえのむずかしさもあり、それは今後のテーマとして私自身考えていきたいと思います。
伝えない後悔よりも伝えた後悔のほうがいい
——災害時のむずかしさとはどういうことでしょう。
熊本地震のとき、コメントにすごく迷ってしまったんです。私の一言が被災者の方に不快な思いをさせてしまうのではないかと、ありきたりなコメントしか言えませんでした。大変な思いをしている方がたに、ふみこんだことは言いたくなかった。でも「伝えない後悔よりも伝えた後悔のほうがいい。あなたの言葉で救える命があるかもしれない。それを伝えられるチャンスがあなたにはあるんだから」とNHKのアナウンサーの方からアドバイスをいただき、それ以来、できるだけ具体的なコメントをするように心がけています。
人と同じことはしたくない。私だけの伝え方を
——福岡さんなりの言い方とは?
私は昔から人と同じことをしてはダメという認識が強く、人と違うこと探す性格なんですね。とくに災害時の警戒事項などは何回も言われるとかえって耳に残らなくなりますので、何か違う表現や見せ方はないか、記憶に残る言い方はないかということを考えます。ありきたりな表現をできるだけ使わないように。ただ持ち時間の関係で伝えられなかったりしますが、私の中ではいつも独自の伝え方を意識しています。
気象キャスターとして試行錯誤の日々
——気象キャスターに必要な能力は何だと思いますか?
①天気の解析力②番組の構成力③トークの能力
私は気象キャスターにはこの3つの能力が必要だと思っています。ただ天気がわかるだけではなく、伝えるべきトピックスを見つけ、それをよりビビッドに伝えられる方法を考えなければいけません。限られた時間で、どの順番で、どんな画面や言葉を使えばわかりやすくなるか。日々試行錯誤しながら、視聴者を飽きさせない斬新な表現をつねに模索。それが気象キャスターの使命ではないでしょうか。
《1日のスケジュール》
06:00 | 起床 |
---|---|
洗濯、お弁当づくりなどの家事 | |
各局の天気予報をチェック | |
翌日の天気図や資料などを把握 | |
ブログの執筆 | |
13:30 | NHKへ出社 |
構成・段取りをスタッフと打ち合わせ | |
バーチャルリアリティ発注 | |
14:30 | メイク |
15:30 | 各番組の気象予報士とブリーフィング |
原稿作成 | |
16:15 | リハーサル |
バーチャルリアリティ立ち位置調整 | |
原稿手直し | |
アナウンサー、気象担当と読み合わせ | |
19:28 | オンエア |
終了後、ツイッター書く | |
20:30 | NHK退社 |
福岡良子(ふくおか りょうこ)さん
1986年12月14日生まれ。兵庫県出身。同志社大学商学部卒。大学在学中に気象予報士の資格を取得し、テレビ出演の仕事をはじめる。卒業後は、放送局のサポート業務や地方局で気象キャスターを経験。2016年4月からNHK総合「NHKニュース7」に出演中。好奇心が強くアクティブな性格で、趣味は旅行、マラソン、マリンスポーツなど。富士山登山経験が5回あり、トライアスロンに挑戦したこともある。