福岡良子(ふくおか りょうこ)さん 気象予報士
学生時代に気象予報士講座に通い、ウェザーマップの専属気象予報士として活躍している福岡さん。気象予報士の魅力や気象キャスターとして心がけていること、将来のビジョンなどを伺った。
就職に役立つ資格として気象予報士を取得
——気象予報士になりたいと思ったきっかけを教えてください。
テレビが大好きで、テレビを通して人の役に立つ情報を届けたいという思いがあり、就職活動でTV局、TV制作会社などを受けていたのですがなかなか受からず、母親から気象予報士の資格を取って再チャレンジしてみたらとアドバイスされたのがきっかけです。それで就職活動にも疲れたし、勉強してみようかなと。簡単な試験でないことはわかっていましたので、就職浪人のようなカタチで大学を1年休学し気象予報士の勉強期間をつくり取得しました。
試験合格に向けて、朝から夜まで勉強の日々
——勉強は大変でしたか?
1年半くらい、ほとんど毎日朝から夜まで勉強しました。試験前は、睡眠と食事以外は机に向かっていたという感じですね。中学・高校がきびしい進学校で勉強するのがあたり前という環境でしたので、勉強は嫌いじゃなかったんです。勉強は、すればするだけ結果がでますから。でも、いままででいちばん勉強したような気がします。文系なので、物理の力学や大気の熱力学の分野が苦手でした。
実技試験をどう攻略するかがポイント
——試験で苦労した点はどんなところですか?
試験は筆記と実技があって、筆記はマークシートですので対策さえきちんとすればなんとか対応できました。むずかしかったのは、実技ですね。記述式ですので、論理的な解答をするためには本質的な理解が必要。ごまかしのきかない試験なんです。相当な知識力はもちろん、さまざまな資料を読み解く力、それをわかりやすく書く文章力も求められます。これを限られた時間内でこなせるようになるのは大変でした。
過去問とスクールで実技試験の難関を突破
——実技試験はどんな対策をしましたか?
採点基準がわからないので、答えのパターンが見えてくるまで数をこなしました。過去問を何度もやって傾向をつかみ、模範解答を覚えるレベルまで繰り返しやりました。そうすると、出題者の意図や的確な解答文の書き方がわかってきます。それと、スクールへ通ったのがよかったと思います。私は人の目がないとやらないタイプなので(笑)。スクールでは仲間もできますし、おたがいモチベーションを高め合えます。スクール時代の仲間でいまだに交流がある人もいます。
キャスター講座でテレビの現場の雰囲気に触れる
——気象予報士資格取得後、すぐ気象キャスターになったのですか?
大学4年のとき、気象予報士試験の結果が出る前に〈クリア〉のキャスター講座へ。テレビに携わる仕事がしたかったので、少しでも現場の雰囲気に触れられればと思ったからです。当時大阪に住んでいましたので、2時間の講座を受講するために、大阪から毎週のように夜行バスで通いました。それで試験に合格した後に仕事をいただき、気象キャスターとしてデビューし、現在に至ります。
わからなかったからこそ、わかりやすく伝えられる
——気象キャスターになった当初、どんなことを思いましたか?
私は天気に興味があったわけではなく、就職に有利な資格として気象予報士を取りましたので、仕事をはじめてから苦労しましたね。勉強してきた内容と実際の天気がどうしても結びつけられず、机上の空論のようなイメージがありました。資格取得=認められたということなのに内容がわからない、そんな状態で人に伝えていいの?というジレンマのようなものがありました。ただ、私が悩んでいるところは、きっと視聴者の方にとってもむずかしいはず。苦労はしたけど、そのぶん、視聴者目線の感覚を持って伝えられているのかなと思っています。
資格取得はスタート、さらにその先の目標へ
——気象予報士を目指す方へアドバイスをおねがいします。
厳しい言い方かもしれませんが、資格取得はあくまでもスタートにすぎません。キャスターに選ばれることは、試験とは違うむずかしさがあります。また、天気予報の技術も日々進化しているため、私たちも日々勉強していかなければいけません。資格取得をゴールにせず、さらにその先の目標に向かって取り組めば、気象予報士への道が開けると思います。
福岡良子(ふくおか りょうこ)さん
1986年12月14日生まれ。兵庫県出身。同志社大学商学部卒。大学在学中に気象予報士の資格を取得し、テレビ出演の仕事をはじめる。卒業後は、放送局のサポート業務や地方局で気象キャスターを経験。2016年4月からNHK総合「NHKニュース7」に出演中。好奇心が強くアクティブな性格で、趣味は旅行、マラソン、マリンスポーツなど。富士山登山経験が5回あり、トライアスロンに挑戦したこともある。